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外からも中からもおいでませ-わがまちを楽しくする美術館
 ~市之倉さかづき美術館 今川祐子(いまがわゆうこ)氏

2010-06-15

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市之倉さかづき美術館の支配人である今川祐子さんは、まちの学生からおばあちゃんまでもがモデルになれるファッションショーをはじめ、斬新なイベントや企画展示を数多く発案、「地元の人にも楽しんでもらえる美術館」を目指している。その傍ら、地場産業を活かした地域活性化プロジェクト「市高笠プロジェクト」にも参画。地域を盛り上げる若手女性起業家の今川さんだが、意外にも「わがまち」で育ったのは小学生まで。彼女が起業家として歩み始めたきっかけとは......?


*PDF版はこちらからどうぞ(950kb)
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さかづきのまちに生まれて

岐阜県美濃東部に位置する多治見市は、日本最大級の生産量を誇る美濃焼の産地で、その南端のまち・市之倉町は盃の産地である。古くから焼き物づくりが盛んで、明治期には全国の盃生産の大半を占めた。今川祐子氏は、そんな伝統ある焼き物の里で育った。彼女が市之倉にいたのは小学生の時までで、勤めていた会社を辞めてここに帰ってくるまで、彼女の中でこのまちの記憶はその時のまま止まっていたという。「多治見にいたのは小学生までですが、逆によかったなって思うんです。子供の頃の記憶ってすごく大事で、自分の中で市之倉がきれいなままだったから、自分が育ったまちで働きたいって、素直にそう思えたんです。」


「自分の土地」に戻りたい

大学時代は京都でランドスケープを学んだ。卒業後、北海道のランドスケープ事務所(公園設計)に就職し、その面白さにはまった。その土地の人と触れ合い地域をデザインしていく仕事は、とにかく楽しかった。しかし、その一方で拭いきれない違和感があった。――なぜ、自分はここにいるのだろうか?「北海道で、その土地やそこに住む人々とかかわりあいながら仕事をするうちに、自分の知らない土地を変えることに抵抗を覚えるようになってしまって。ここは私が変えていい土地じゃない、戻りたい、って思った時に、じゃあどこに戻るのかって考えました。やはり、育った多治見に戻るべきだなって。」大学では、カッコいいものをデザインしたいという想いを抱いていた。就職で向かった北海道では、まちを活気づけていきたいという想いを得た。回り道をしてふくらませた「想い」を抱いて、2002年、わがまちに戻ってきた彼女を待っていたのは......、「ちょうどさかづき美術館を立ち上げる構想が動いていました。観光産業でまちを活気づけることを目的としていたので、私は陶磁器の専門ではないけれども、私のやってきたことが役に立つのではと思って。」


1粒で2度おいしい美術館

美術館は、美術館・巨匠館・ギャラリー「宙」の3つの展示室と、ミュージアムショップ、作陶体験施設からなる。運営母体は地元の有志が集まった協同組合であり、所蔵品は多くない。常設展を行う展示室、「美術館」では、今川さんの父である7代・加藤幸兵衛氏が集めた1500点以上の市之倉産盃を展示。巨匠館では、地元ゆかりの人間国宝等の陶芸作品を紹介している。P4158904.JPG ギャラリー「宙」(企画展示)では、花器から雛人形、織物に至るまで、さまざまなクラフト作品を展示販売している。観光客向けの陶磁器展と、地元の人向けの他業界作品の展示。ギャラリーは2つの顔を持っているのだ。「市之倉にはずっとここに住んでいる人が多いので、違うものを見せた方がいいと思って、木工やガラスなど、陶磁器以外の業界の作品展も多く企画しています。外からのいい刺激を受けていただけたらと思っています。」



まちの人に愛される場所に

運営母体である協同組合は理事4名、組合員9名からなる。新しいことをしたいという方針から、基本的に若手に任されている。「ICHINOKURAコレクションっていうファッションショーもやるんですよ。me ISSEI MIYAKEのデザイナーさんがまちを元気にしたいっていう私たちの考えに賛同してくれて。地元の学生や主婦、おばあちゃんたちもモデルになれるんです。」モデルの年齢は16~90歳、地元参加型のファッションショーだ。しかし、「地元の」であってもダサくてはいけない。メイクやスタイリングも本格的に行い、まちの人に思い切り楽しんでもらう。「美術館を、自分が住むまちにこういうところがあったら嬉しい、と思ってもらえる場所にしたいですね。夏にはビアガーデンをやるんですよ。」


楽しく気ままなコラボレーション・プロジェクト

今川さんのフィールドは、美術館の中だけにとどまらない。 2006年、多治見市と笠原町との合併を機に発足した記念事業「市高笠プロジェクト」では、多治見の新ブランドの開発にチャレンジした。相互の地域特産品を活かし、多治見市高田町(とっくりの産地)と笠原町(酒蔵「三千盛」)、そして市之倉町(盃の産地)のコラボレーションで酒器セットを考案したのである。 P4158922-2.jpgのサムネール画像 しかし、プロジェクトが発足する前は、窯元の集落(=産地)同士、人の交流はあっても商品にその交流が反映されることはなかったという。「もともとは、元プロジェクトリーダーでNPOたかた・おなだの代表をしていた加藤由弥子さんとの、何かやりたいねっていう雑談からはじまったんです。

彼女は私と同世代の陶芸作家さんで、うちの企画展に以前出展していただいたこともあったので、お互いによく知っていたんです。窯元でも商社でもない、中間的な存在の私たちなら産地コーディネートとか商品開発ができるんじゃないかって話しました。」お互いに高め合える最高の組み合わせ、をコンセプトにした商品開発は、今までにない、窯元同士あるいは酒という異業種とのコラボレーション、という形で実を結んだ。現在はリーダーを引き継ぎ、多様な9人のメンバーと楽しく気ままなまちのコラボレーション・プロジェクトを行っている。今後は多治見以外のまちも巻き込んでいくのだろうか?どんな展開を見せるのか、目が離せない。


東濃信用金庫からのメッセージ

今川さんが代表を務める「市高笠プロジェクト」は、多治見市の新ブランド創出や地域間の交流促進及び関係機関との連携強化等につながっています。現在は、多治見市だけでなく、他の岐阜県産品とのコラボレーションによる新商品開発に取り組み中であり、当金庫もプロジェクトメンバーとして継続的に連携しています。

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