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しんきん地域づくりラボ > わがまち起業家!発掘プロジェクト > わがまち起業家物語 > 同じものは2つとない。物を作る創造力、楽しさ、完成したときの達成感を共に感じたい ~木工房&木工教室『もくもく楽舎 たけちゃん工房』    高橋 武男(たかはし たけお)氏~

同じものは2つとない。
物を作る創造力、楽しさ、完成したときの達成感を共に感じたい
 ~木工房&木工教室『もくもく楽舎 たけちゃん工房』
   高橋 武男(たかはし たけお)氏~

2011-01-20

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「そのまま会社に残っとったら、こんなに自然や子供たちと触れ合いながら楽しく働けなかったと思いますね。やめて正解だったと思うな」と語るもくもく楽舎 たけちゃん工房の高橋武男さん。自宅の駐車場を作業場にして仕込みを行ない、学校や公共施設などさまざまな場所で出張工作教室・展示会を開催している。高橋さんが勤めていた会社を定年退職して、第2の人生を笑顔で踏み出せたわけは...。



起業から拡がる『輪』

高橋さんが定年退職を意識して次のことを考えはじめたのは2007年、57歳のとき。自分が好きなことを活かした何かができないか、と新聞や町の広報誌などをいろいろと調べ始めた。そんな時に目にとまったのが、愛知県の施設"モリコロパークもりの学舎"でのインタープリターという仕事の募集。インタープリターとは、森の案内人のことで、それなりの知識もあったので、これならできると思い、10日間の研修に参加。無事に県の資格を取得した。ほぼ同時期に瀬戸市の広報誌で目にした"せとっ子ファミリー交流館"の木工ボランティアにも応募。自宅のテラスや階段を作るなど、昔から日曜大工やものづくりが好きだった高橋さんは、それを「子供たちと関わりあいながらやっていきたい」と思うようになった。
042.jpg 「子供が初めてのこぎりを持って木を切るわけです。のこぎりの切り方もわからん坊主がですよ。で、試行錯誤して1つの作品ができますよね。そのときの子供の笑顔が忘れられなくてね。俺はもうこれだなと。定年過ぎたらこういうことをしていきたいと思いました」
それから、インタープリターの仲間の勧めで、野趣あふれる公共総合公園"名古屋市庄内緑地グリーンプラザ"で、2009年3月に初めて工作教室を開いた。8月には工作品の展示会も開催。この展示会が、今の高橋さんの活動の中心である昆虫工作のきっかけになる。同公園で開催される展示会は緑・植物に関するものが多かったことから、「虫を作ってくれないかな?」と頼まれたのだ。カマキリ、トンボ、LEDを入れて光るようにしたホタル、クワガタ、バッタなどを作った。もともと昆虫好きであったわけではなく、足が6本あるというのもこの話をもらってから初めて知ったくらいだったという高橋さん。「ブックオフで昆虫の本を買ってきて勉強しました(笑)」。その展示会を名古屋市の環境学習センターの担当者が見に来ていたことから、同センターでの工作教室・展示会に結びついた。2009年暮れには、森に入り、自然遊びをしながら、工作の素材となる枝を探し、それから工作教室をやるというイベントも実施。「森の中で自然遊びをしながら、同時にできる工作っていうのはなかなかないみたいで、評判だったようです」。インタープリターの資格を持つ高橋さんならではの強みである。小学校のPTAや子供会からも、「そういうこともできるんでしたら是非」と声がかかるようになった。さらに子供向けのみならず、大人を対象にした木工講座も始まり、主婦層を中心に口コミで広がって、今に至る。
「どんどん『輪』が増えていってね」。人と人とのつながりだけでなく、ホームページやブログ、ツイッターの絶大な効果も実感している。毎朝晩確認するのが癖になるほど。ホームページを作ってくれた仲間に「足を向けて寝たことはない」と笑う高橋さん。2009年は8か所で延べ430人。2010年は8月までに10数か所で延べ600人。そして12月までにもう10か所程度。さらに2011年9月まで日程は決まっている。



"せと・しごと塾"での人とのつながり

高橋さんの活動にとって重要な『輪』のひとつに、瀬戸市が主催する"せと・しごと塾"の卒塾生ネットワークがある。塾の存在は新聞記事を読んで知っていたが、1期生の募集の時はまだ勤め人だったため断念。1年後の2009年に2期生の募集があった際には、「すぐ電話を入れました。受付一番が僕だったらしい(笑)」。
入塾してまず驚いたのは男女比。2期生18人の内訳は、男性5人と女性13人。「男性のほうが多いかなと思ったんですよ。ところがどっこい女の人ばかりで、嬉しかったなぁ(笑)」。塾でいっしょに学んだ女性たちの考え方は、高橋さんの活動にとっても参考になったという。 "せと・しごと塾"は、瀬戸市役所の産業課が企画・運営。取材に同席した瀬戸市役所の小木曽氏は、このネットワークのキーマンである。「僕たちとしては、ただ塾を卒業して終わりではなく、市民の方たちがチャレンジする場を用意する、という思いがありました。声を掛けた時に尻込みする人もいますが、大丈夫大丈夫、と言ってやってもらう。そうやってみなさんにいろいろチャレンジしてもらっています」と思いを語ってくれた。



一番大変なのは手を抜けない仕込み...

材料は主に大きな公園などの剪定材や廃棄木材を使っている。数日前にも公園から、「桜のいいのが入りましたよ」と連絡が。「なまものじゃないんだよ、あんたのとこは魚屋かい?(笑)」といった具合のユニークなやりとりをするほど打ち解け、材料調達は助けあいで成り立っている。胴体を作る材料はこうして手に入るものの、困るのは足や角になる細い枝。「うちのキンモクセイやヒイラギがだんだん小さくなっちゃって。1年2年たったらどうなっちゃうのかな(笑)」
056.jpg 一番大変なのは、材料の仕込み。昆虫の頭1個、胴体1個を準備するのにそれぞれ10以上の工程があり、かなり時間がかかっている。「手を抜こうと思えば当然抜けると思うんです。でも手を抜いちゃったら、できたときの感動とか感激とかがなくなっちゃう。相手は子供。良い悪いがちゃんとわかるから」と高橋さんはこだわりを見せる。手を抜くのなら、胴体の切り込みも面取りもいらない。しかし、子供の喜ぶ顔が見たい高橋さんは決して手を抜かない。「プラモデルは100人作ろうと1万人作ろうと10万人作ろうとみんないっしょ。でも枝の格好や木の肌がいっしょのものがどこにあるの?全部違うんです」。同じものは絶対に2つとない!これが高橋さんの工作教室の最大の魅力となっている。工作教室で「誰の作品が一番よかった?自分のだと思う人?って聞くとみんな手を挙げるんだよね。そういうのがおもしろい」とほほ笑む。
 また、高橋さんの工作教室にはリピーターの方も多い。前に開催した教室で作ったハチの足が折れてしまったために、修理をお願いしたいという親子もいた。「リピーターの方が見えるっていうのはとても嬉しいよね。そしてそのリピーターの方がまた友達を呼んできてくれる。だから手は抜けんってわけですよ」



これから必要なのは"いっしょにやってくれる人"と"レパートリー"

高橋さんがいま考えていることは"いっしょにやってくれる人"を見つけること。仕事の日程は埋まっており、健康には注意しているものの、もし何かあって講座ができなくなったら...それがいま一番の心配ごと。もしかしたら子供たちの中に高橋さんの弟子になる人がいるかもしれない。「そやそや、早く来ないかなって思ってるけど(笑)」
いまは奥様が週末の工作教室を手伝ってくれている。高橋さんに代わって奥様が雑誌に出てしまったこともあるくらい。奥様は最初から理解してくれていたのか、「言っても聞かないでしょ?って感じだった」と高橋さんは笑う。「その代わりに去年の3月から、月曜から金曜まで私が夕飯を作ってるんですよ。白山町の高橋さんは主夫の鏡ねって。自称だけどね(笑)」。もともと何かを作って誰かが喜んでくれるのが大好きな高橋さん。ご飯作りもそうなのかもしれない。高橋さんが考えていることがもう1つ。"レパートリー"をどうやって増やすか。5種類あるレパートリーだが、最低でも10種類は持っておきたい。いま思い描いているのはトンボとトノサマバッタ、そして黒いケヤキで作るアリンコ...。
「おかげさまで、会場だとか、こういうのをやって下さいっていうのはどんどん増えているからいいんだけど、この2つは課題ですね」



自然と触れ合うことを通して...

「自然のことを知っていたら、何か人生にプラスになるかって言ったらわからないけど、気持ちが何か違うんじゃないかな」。高橋さんは、工作教室を通して子供たちに自然に目を向けてほしい、何か作ろうかなという気になってほしい、と思っている。
「その辺りにある自然のものが全部素材になる。プラスチック系や石油系のものが何もないでしょ。それがおもしろいかな」と自分の工作教室を語る高橋さん。
「こんなドングリがついてる角なんて、子供はすごい嬉しがるだろうな」。高橋さんは今日も近くの公園や空き地、そして庭の自然を見ながら、この枝は何かに使えないかな?と考えをめぐらせ、目を輝かせているに違いない。



瀬戸信用金庫からのメッセージ

「せと・しごと塾」2期生高橋さんの持ち前の明るいキャラクターは、まわりに笑顔をもたらします。講師の私も、「せと・しごと塾」での講義やグループワークをすすめる上でそのキャラクターにはずいぶん助けられました。今では高橋さんの開催する「自然木を使った自然に親しみながら作る子供向け工作教室」は、半年以上先の予定まで埋まるほどの人気ぶりです。みなさんも、工作教室で「きもかわいい昆虫、動物」「三輪車等のおもちゃ」作りと、高橋さんの「おやじギャグ」をぜひ体験してください。

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tags: もくもく楽舎, 瀬戸

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